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「買い場起点」の発想 ~A to A消費~VMLab 辻井良一

A・I・D・M・A神話の崩壊

「購買=Action」に至るまでの、心理と行動の過程を、選挙運動に例えて説明した「理論」がA・I・D・M・A論でした。 大衆(=消費者)に対しては、選挙カーの連呼で大声を発して振り向かせ(Attention)、話題で引き付け(Interest)、話の内容でその気にさせ(Desire)、繰り返し説いて記憶にとどめ(Memory)れば、選挙当日に投票(Action)させることができる。

だから、売りたければ先ず広告。広告の多い商品だけが指名買いを得られる「強いブランドに育つ」と言うのが、広告主導のマーケティング時代のセオリーでしたが・・・さて、今はどうでしょう。

あれ?見たことない、買ってみよう。

いつものコンビニやスーパー、ドラッグストアなどの店頭で実際に起きているのは、A・I・D・M・Aのステップなどたどらない出会い頭の消費。「おや、面白そう!買ってみよう」と言う、Attention > 即 > Actionの「A to A消費」です。

実際に、コンビニやスーパーのデザート売り場、食品売り場であなたがカゴに入れる商品は、商品名も、メーカー名も記憶にないものが多いのではないでしょうか。
小売業の台頭、「買い場」としての安心感が、ユーザーのそうした買い物行動を増やしつつあります。(→参照:業態ロイヤリティー消費)

売れたなら、目標達成?

売り場(ユーザーから見れば「買い場」)の商品構成決定権は、今や完全に小売の側にある、メーカー受難の時代です。
今、たまたま買われたその商品が、そこに並べてもらうためには涙ぐましいストーリーがあったはずです。でも、売れたんだからいいじゃないか!並んでいればまた一個、また一個と、売れて行くはず。でしょうか?

いいえ。ファンづくりに成功しなければ、やがて棚落ちの運命が待っているのが現実です。小売の側から見れば、 ナンバーワンの定番商品と、高利益の売り込み品、それと次々に登場する(=次々に死に絶える)目新しい新商品の組み合わせが、売り場効率最大化の思うつぼなのですから。

「買い場を起点」に考える

クロスメディア、コンタクトポイント、といわれる中で、最重要かつ最有効のメディア&コンタクトポイントは、店頭のフェイスをおいて他にありません。
「買い場起点」の発想とは、サイフとカゴを持って今そこにいるそのお客こそ、最大のターゲット考える発想。さらには、今たまたま買ってくれ、この商品を体験してくれるその人こそ、Brandにとって最重要のコミュニケーションターゲットと考える発想です。

「買い場起点のマーケティング発想」は、BeforeとAfterに分かれます。

  1. Before=今、30センチの距離にいるターゲットに、何をメッセージして買ってもらうのか。
  2. After=今、たまたま買ってくれたその人に、どんな理解を形成してファンになってもらうか。

の2つを、「商品自体をメディアとして」考えるコミュニケーションの発想です。

パッケージは最大のメディア

  1. まずBeforeについて考えましょう。最重要のコンタクトポイント(=買い場)で、最終のメッセージを発信できるのはパッケージです。大量の広告による記憶を背景にする商品のパッケージと、店頭での出会い頭購入(=A to A消費)を狙う商品では、自ずとパッケージのデザインが変わってくるはずです。これにさえ、気がついていないメーカーが多いと思います。
  2. 次にAfterです。広告ではあんなに頑張って商品のチャーミングポイントを伝えようとしているのに、買ってくれ、体験してくれたその人に、商品の本当の魅力を伝える努力は二の次のように思われます。広告予算の一部を、パッケージのメッセージ性UPに振り向ければ、どんなにファン作り(≒CRM)に役立つでしょう。

老舗の菓子舗はCRMの達人

僕はこの、Afterのコミュニケーション(≒CRM)を説明する時に、よく老舗の菓子舗の箱に入っている「しおり」を例に挙げます。 老舗のお菓子はお土産でいただくときも多いですね。つまり、今食べる本人はA・I・D・M・Aどころか名前も知らなかったものに初めて出会ってそれを口に入れるわけですが、まあまあ美味しいような気がする。

その時、ふと目について手に取るのが一枚の「しおり」です。そこには、当店の羊羹の「旨いわけ」がとうとうと述べられています。それを読みながら食べると、どんどん美味しさの理解が増幅され、その羊羹のファンになってしまうわけです。さらには、お取り寄せのご案内まで、しっかりあります。これこそ商売上手であると同時に、メーカーの使命の全うだと言えると思います。

「体験」×「知識」がファンづくりのポイント

体験者への知識の付与。これこそがCRMの極意です。
菓子箱の中の「しおり」は、今の時代なら「Web Site」への誘導でも良いわけです。
After Actionのコミュニケーションは、往々にして軽視されがちですが、これからのマーケティングでは何よりも重要な課題として研究され、予算処置されるべき分野だと確信します。

お土産のお菓子の例を待つまでもなく、A to Aで買ってもらえた(=体験してもらえた)のは、たまたまのこと。大切なのは、その人をファンにする力です。

ダイレクトコマースも視野に

メーカーの使命は、自社の創出した「自信の価値」を、それを必要とする人のところに「届け続ける」こと。 コンビニの棚を取る為の商品開発。棚落ちしたら廃番と言う繰り返しは、消費者への裏切りに通じます。

しっかりとファンを育てる覚悟。育てたファンには責任を持って商品を届け続ける覚悟。コンビニで棚落ちしても、直接のE/Cオーダーならお届けし続けます。むしろコンビニの棚はそうしたファンづくりの一つのステップと言うくらいの、使命感と気概が欲しいとつくづく思います。

競争のための競争。多産多死のマーケティングはそろそろ終わりになって欲しいですね。

*メーカーによるE/C直販の流れは、既存流通の抵抗も多い中ですが、明らかなトレンドです。当VMLabでは、このテーマも研究の課題に据えてゆきます。

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