tsujii: 2012年2月アーカイブ
見切り千両。
「見切り千両」と言う言葉はずっと前から知っていた。
博打で負けた時の止め時とか、不採算事業からの撤退とかの考え方の、一つの示唆かな?と(なかなか自分事では実践できないが)以前から好きな言葉の一つだった。
先日、日経新聞のコラムで、松井証券の社長がこの言葉を紹介していて、はあ!っと、改めて腹に落ちた。
井原西鶴の言葉らしい「見切り千両」にはその前後があると初めて知った。
「始末十両、儲け百両、見切り千両、無欲万両」と言うのだそうだ。(始末とは節約のこと?)
60余年、マーケティングだ事業コンサルだと、やはりお金とは切り離せない世界で生きてきて、この言葉の含蓄の深さにはただただ脱帽の思いがした。言い得て妙とはこのことか。
松井氏はコラム中で、見切り千両の意はそのままに取り、無欲万両の方に関しては、もっと全く新しいパラダイムを考えるようなことと捉えている、と、書かれていたが、僕はちょっと違う解釈の方がなじむ。
「見切り千両」こそが、新しいパラダイムへの挑戦までを含んでの言葉ではないだろうか。ずるずると現状に縛られて、既存の枠組みや、旧来の視野の中でもがくのではなく、そんな旧習に見切りをつけて、全く新たな発想を生み出すことこそが「見切り」の本意なのではないだろうか。
いま、日本では(いやもしかすると、全ての自由主義経済の先進国で)、この「見切り」が求められているのではないだろうかとさえ考えさせられてしまう。
「無欲万両」の方は・・・・それはそのままに解釈させてもらうのが正しいのではないか?
所詮凡人には「義理と金」のこの世を、無欲で超越して生きる人にはかなわないと。
U-23シリア戦を見て。
試合開始早々の失点を、前半終盤に追いついた永井のゴールを見て、「これで行ける!やっぱり日本の方が強いのだ!」と誰もが思ったのではなかったろうか。
ところが、後半戦のリズムはまるで冴えなかった。
危ない局面が多かったというよりも、攻撃に、まるでリズムがないまま時間ばかりが経過して、残り15分となったころには、「ええ~こんな時間帯になってしまって、もし間違って一点取られたら、負けちゃうじゃん!」と言う、サッカーならではの恐怖が走った。
結末は案の定。ロスタイムで相手のDFサリハに、30mのロングシュートを放たれて、試合は決まった。
最初のオウンゴールと、最後の一発と、確かにどちらもGK権田にとれない玉ではなかったかもしれない。
試合後のインタビュアーの血も涙もないかのごとき質問に、権田は半分泣きながら「自分の責任だ」と語った。
(あのインタビュアー、ほんとにひどい聞き方だったな~、お前、スポーツのココロ・・・分かってるのか?)
でも、この試合で僕が一番腹立たしかったのは、関塚監督の無策ぶりだ。後半残り10分を切ったころに、日本選手が敵陣内で倒れた時、アナウンサーが「ああ、監督からそのまま倒れていろとの指示ですね、引き分けでも・・・と言うことでしょうか」との解説が入った時に、やばい!!と感じた。
引き分け狙いなら、引き分け狙いでもそれは立派な戦略だ。だがそれならばもっと徹底して引いて守り、ボールは無理にけり込まずに、キープすることが必定だろう。
あの残り10分の時点で、日本チームには、引き分け狙いか勝ち狙いかの、戦略徹底はできていたのだろうか?それが、つくづく疑問であり、残念極まりないところだ。
関塚監督はインタビューに答えて、無難なことを語っていた「厳しい結果ですが、これからも一戦一戦・・・」とか。
「選手はよくやりました。すべて、僕の責任です」くらいのことは、言えないものか!!!!(それとも、次回は権田を変えようとか、清武がいないとやっぱりだめかとか、そんなことを考えているんじゃないだろうな・・・まさか)
怒り。
日本のお家芸の危機?
最初に気になったのは、1月の末に発表されたNEC。今期▲1,000億で、国内外人員削減のニュースだった。
続いて先週末、まずシャープの▲2,800億が出て、ソニーの▲2,300億(5期連続赤字/ハワードストリンガー退任)の発表が続いた。
ひどいことになっているな~と思ってみていたら、ついに真打登場。パナソニックが▲7,800億と発表した。
「タイの洪水」と「円高」だけでは説明しきれない。これはもう、日本のお家芸だった「加工品輸出」の利益構造が、完全崩壊したというリアルなレポートなのだろう。
シャープとパナソニックは、国内の(自慢の)工場に、それぞれ800億~2,000億規模の追加投資をして、TVの生産を止め、スマートフォンなどの生産に切り替えるという。
昨年末のUSのクリスマス商戦では、40型の液晶TVが199$だったというから、それも頷ける。(はて?メーカーはどこなのだろうか?サムスンではないだろう、ハイアールとかの中国製だろうか?)
精巧で、便利で、高付加価値で、(少々高くても)カッコよかった「日本製の家電」が、TVを筆頭に軒並み全敗だ。
だが、新興の競合メーカーが単に安売りを仕掛けてきているだけではない。海外に出る機会の多い方はご存知と思うが、世界中のほとんどの小売りの現場で、今やSAMSUNGはSONYよりも元気なばかりか、上位のBrandとして扱われている。現代自動車の地位向上も目覚ましい。
ニッポンは、コストで負け、性能で負け、Brandでも負けたと言うことで、これはかつてのGEなどが、日本のソニーやナショナルに駆逐されていったストーリーそのものだ。GMやフォードの衰退とも重なる。
グ~ンと引いた、超客観的、類型的な結論を急げば「盛者必滅」でしかないが、それを招いたのは何だったのか?(そういえば、先般の米コダック社の連邦破産法申請も思い出すが)、成功体験は往々にして、変化への対応の判断を妨げるということで、つまりは、経営の責任に尽きる。大きな潮の流れを見誤っての結果だ。
今や、日本では、ゲンキ!な企業を探す方が難しい。基幹系の産業は総じて苦境にあえぎ、利益を出しているのはあざとい商社や一部のエネルギー系?はたまたNet系や通信系と、しょうもない(失礼)GAME系の企業などでしかなく、国を支え、世界を変えて行く本物の産業とはずいぶん隔たりが感じられる。
まじめに一番大切なところ担うと・・・・正直者は馬鹿を見る、というふうに見えなくもない。
でもそれは違うだろう。やはり賢こければ、正直者でも馬鹿は見ないようだ。
そう言えば、GMは超短期で再建・再上場し収益構造も立て直した(もちろんその裏には、雇用と労働条件の大幅なカットがあったが)し、コダックは破産したが我が富士フィルムは、医薬や化粧品の世界に展開していまだ健在だ。
過去と決別すれば、企業は生き残り、立ち直る(こともできる)。
それはきっと、政治の世界でも同じなのではないか?国の勢いも、潮の流れで大きく変わる。時代の構造にあった生活意識で、次代につなぐ覚悟を、国民一人一人が持って、それが政治に反映されれば転機は生まれる・・・・が、それを怠るとやはり、行き着くところまで行き着かなければ気づかず、気が付いた時にはすでに反発の国力も残っていないと言う先例は、歴史が多くを物語っている。
TVの国会中継を見ると・・・・・ちょっと寒気がしてきてしまう。


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