政治と経済に思うこと: 2008年1月アーカイブ
仏ソシエテ、8兆円の損失確定売り。
49億ユーロの損失を出した31歳の悪役、ジェロームくんの不正取引が発覚したのが18日。中央銀行に報告されたのが19日。ソシエテはその翌週21日から、手持ちポジションの一斉売却に入って自ら増大させた「損失額」を固めて発表に至ったと言う。清算された不正取引の扱い総額は500億ユーロ規模と推定されると言うから、8兆円近いポジションが一斉に投げ売られた訳だ。欧州・アジア株の急落の一因となったかもと言う推測はおそらく正しいだろう。結果ソシエテは損を膨らまし、FRBは22日、0.75%の緊急利下げを決定する。先物の損だから、あいたいの利益は誰かの懐に収まったことになる。ジェロームくんのオイタ、世界金融を揺るがすの巻きだ。何だか少し笑えた。
彼にインタビューしてみたい。「あんなに慌てて売るから損が膨らんだ」「僕ならもっと上手に裁いたのに」「だって僕は、行内ルールを破って大きくやっちゃったけど、そもそも僕のセクション自体が先物の博打のセクションなんだよ」・・・な~んて言わないかな。
この記事を今日の日経に見つけて、僕は違うことを考えていた。
企業のコンプライアンス、ガバナンスを厳しくと言う動きが世界の随所に激しい。日本で言えば、LD事件以来の監査基準の厳格化は相当なものだ。まあ、不徳の輩が多すぎたのだから仕方が無いけれど、監査法人は、灰色を白と言ってしまえばお仕舞いだから、本当に神経質。むしろ全てを黒と言えば安全と言う流れが出来上がっている。(今や日本中で、一番物分りが悪いやつは監査法人だ/笑)。そんな中困るのは、白を白と言わせる為の手続き作業の膨大化だ。結果、管理コストの増大につながり、上場を視野に入れる新興企業などにとっては利益圧迫の最大要因だ。
アネハ耐震偽装問題後の建築申請手続きが複雑化し、認可遅れによる着工遅れ、完成遅れが続出して建設不況。と言う記事は目にした方も多いだろう。同じ流れだ。
$の落日、¥の迷走。
詳しいことは経済学者に譲るとしても、$のシナリオは素人目にも乱暴だ。
要するに、財政と貿易の双子の赤字を垂れ流しながら、天文学級の米国債を、日本を始めとする世界中の貿易黒字国に押し付ける。つまりは$と言う紙切れの空手形を抱かせて、世界の富を集めてきたのがアメリカ$の陰謀だ。
仕組みは簡単。ユーラシアを征服したモンゴルも、大東亜に進出した日本軍も、占領地で「軍票」と言う新規の「お札」を印刷して、ただで物資や労働力を手に入れた。つまりは、軍事力を背景にした勢力圏内での富の搾取だ。金貨や銀貨や兌換紙幣はよいが、軍票も$も非兌換紙幣(=ただの紙切れ)だ。軍事力の絶対性が揺るげば、誰もが???と思う。
東西冷戦の20世紀はよかった。21世紀に入って、ユーロの離反、中国とロシアの台頭、アラブの揺さぶりが同時に来た。ガキ大将で生徒会長、やくざで目明しのアメリカの勝手にはさせないぞと。
とりわけ、アメリカの軍事力の庇護を全く受けない中国とロシアが、$にとっては喉もとの刃だ。機を見計らって、彼らが完全に$を見切れば、$はその紙切れ性が露になってしまう。
そしてその、落日の親分と心中をさせられそうなのが、日本であり¥なのだ。
と、最近ちょっと勉強してようやく分かった。・・・・・情けない!! (ブラビアのCMのヤザワのような感じで・・・・)
今、米大統領選挙が面白い(2)。
ニューハンプシャーでは、ヒラリーが必死の挽回で一位復帰。
39% vs 37%は、当初の楽勝ムードとは程遠いけれど、それでも一位は一位で、敗北とは雲泥の差。陣営は先ずはほっと一息つきつつ次の2月に向けて体制再構築に大童か。
その大統領選で、さすがはアメリカ。Blogが大活躍。
と言うより、そこが主戦場の様相。テーマソングの投票選択。応援アーティストやミュージシャンも参加するパロディーVTR。「応援するなら金をくれ(?)」と言わんばかりのカード決済の寄付集め。セカンドライフに各候補の選挙事務所が出来ている。これこそ、Net文化の真骨頂だ。(NIKKEI NETのレポートが分かりやすい)
Blogの文化は、自分の意見を遠慮なく主張し、討論(ディベート)を厭わないアメリカ人にとても向いていると感じざるを得ない。その点、日本のBlogは、かく言う僕のBlogを含め、ちょっと変だ・・・と言うか・・・少し情けない。
とうとうと自分の意見を述べはするが、討論には及ばない。コメントをたくさん集める人気ブロガーの場合でも、コメントの大多数は「討論」には程遠く「感想」止まりだ。そんな(日本の)Blogの限界を感じている心あるブロガーも多い。
今、米大統領選が面白い。
本命視されていたヒラリー女史が突然の苦戦だ。絶対の優位から、よもやの三位。
善くも悪しくも、民主主義は・・・激しく振れる。この勢いでは、民主党はびっくり玉手箱のオバマ氏か?(僕はまだ、彼をよく知らない)
そしてまた、アメリカの大統領選の面白いところは、これが一年に及ぶ長丁場のところで、民主党側が候補者選びで最高に盛り上がった後の本選で、あっさり共和党側が勝ってしまったりする。(あえて、本選に弱いであろう候補が選ばれるように、共和党までが応援したとささやかれた、民主党のハート議員ブームの時をちらりと思い出したりする)
この際勇気を振り絞って、ものすごく個人的な意見を言わせてもらえば、ヒラリーは前回出るべきだったと思う。その点彼女はちょっと・・・日和った? 四年前の、現職ブッシュとの勝負ではなく、米国中がブッシュに辟易した後であり、三選の無い八年目の今回を選んで、満を持して出てきた感がある。絶対勝つと信じて・・・。
前回出てきてブッシュに勝ってくれたなら、僕はもろもろ手を挙げてバンザイだった。民主か共和かといわれれば・・・常識的には(日本の国益から言えば)共和なのだろうけれど、二代目ブッシュは、ちょっと桁外れに××だった。
アメリカは、利口でジェントルな共和党の大統領が立っているときが一番良いように思える。少なくとも今までは・・・。
年金50万円層とワーキングプアー。
一流企業を勤め上げて、57~63歳くらいで退職する人たちの中には、厚生年金+企業年金+退職金の半分運用などで、将来実質的に50万円級の年金を保証されている人々が結構居るようだ。天下り官僚のあきれた退職金には及びもつかないが、まあ結構な金額だ。
また、生活保護を受ける世帯数は、都市部では5%(=20件に一件)に迫ると言う話しも聞いた。その金額も20万円前後と聞いた(不確かですが)。
僕の以前の会社のオフィスのあったビルには、毎朝清掃会社の人たちが来てくれていて、その中に、75歳を遥かに超えているのではと思われるお婆さんがいて、ニコニコと元気に働いていらっしゃった。
元気で笑顔で仕事は何よりだ。だが、僕のつたない常識で考える限りでは、あのお婆さんの月収は決して20万を超えることは無いだろう。中小零細の事業経営者や、自営業者の収支も、寅さんの昔から中々大変な状況は変わらない。
「働けど働けど 我が暮らし楽にならず じっと手を見る」と歌ったのは」詩よりもむしろ借金の天才だった啄木で、彼の実感には余り共感できないが、詩の内容は今にも通じる。
ベストセラー「下流社会」が論じる前から、日本にはこうした矛盾が巣食い始めていた。平和が続いて、社会制度が膠着しつつ進化すると矛盾が増える。
働く若者よりも多額の年金で、団塊世代が幸せな老後を送って本当にいいのだろうか?お掃除で頑張るお婆ちゃんよりも、生活保護の家族が安心な暮らしでいいのだろうか?
何だか少し、やるせなさを感じる。
TATAがJAGUARを買う?
不振のフォードが手放すジャガーを買い取る筆頭候補が、インドの”TATA”だと言う。女王陛下の国を代表する名車ブランドを、インドが買い取る!!!
さらにTATAは自国を含めた途上国市場向けに3000$カーも開発して世界に乗り出すと言うし、鉄鋼業界でもTATAは世界No1の勢いだ。他にもサーカーワールドカップ(FIFA)のスポンサーに名乗りを上げたITの”サティヤム”など、インド資本の世界進出はいよいよ本格始動のようだ。
そうこうする中、昨年末のサブプライム問題で自己資本を痛めた米国Citiグループの増資に手を上げたのはアラブマネーだったし、他にも、中国の国営資金のファンドの動きも本格化だ。
世界の経済地図が、この世紀の前半の内に本当に大きく塗り変わるだろう事が、いよいよもってリアルに感じられてきた。僕らはその流れの中でこの先、どんな体感をし、どんな情景を目にするのだろうか?ニッポンの未来が心配だ・・・と言うような感傷めいた気分も大きいが、欧米と中東・アジアとの力のバランスが大きき変わってゆく、この流れには、客観的にも興味がある。
人は、二つの面で歴史に弱い。
一つは、自分の生きた時代(たかだか50~100年程)の現象を、歴史の一場面と捉えずに、ついつい”普遍”&”不変”の事実と勘違いしてしまう点。
二つ目は、歴史が教える”人の世の理”を、”理(ことわり)”として学ばずに、過去の”物語”として”記憶”に押し込めてしまう癖だ。(=歴史を未来に映すことが出来ない)
そのあたりで言えば、仏教の言う”輪廻転生”などは、最高の歴史観・経済史観だと思うのだけれど、人間は案外狭窄だ。


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