マーケティングの話: 2009年1月アーカイブ

週刊誌の中吊り広告が好きだ。

電車や地下鉄に乗る時は中吊り広告を読むのが大好きだ。

特に週刊誌の中吊りが最高によい。車両無いにたくさんかかっているときなどは、嬉しくて、次々に読むために車内を移動してしまって、時折、不審なオヤジだと思われてしまうが他意はない。きれいなお嬢さんに近寄って行ったのではなくて、僕はただ、その週刊文春の記事の見出しが読みたいだけなんです。

今週の文春は・・・ソニーをボロボロにしてしまったストリンガーCEOと言うタイトルがメインで、押さえに、朝青龍の”ワールドちゃんこ”と”チンギスハンになる”と言う、引きの強い見出しが躍っていた。

従来、電車の中吊り、とりわけ都内を走るJR山手線と営団地下鉄の中吊り広告は、東京のOOHの花形だったが、近年は・・・ちと影が薄い。

それもそうだろう。車内を見渡せば10人中5人以上が、先ず間違いなくケイタイを手にしてメールチェックか検索だ。さもなくばゲームに熱中しているか、iPodでお気に入りの音楽に酔っている。

中吊り広告を読みたくて、車内を彷徨している輩など先ず稀だ。さらに言えば、夕刊紙や週刊誌を買う人の数も激減だ。なにしろFreeMGZはどこの駅にも掃いて捨てるほどあるのだし。

その一方で、OOH自体は隆盛の兆しのようだ。

これは以前から思っていたことなのだけれど、日本は、諸外国の都市に比べてOOHが貧弱だった嫌いがある。ヨーロッパでもアメリカでも、大都市のOOH≒ビルボードの広告は一種の文化を形成している。

どちらかといえばスケール感のあるブランディング広告の多い諸外国と対照的だったのが、日本の中吊り広告で、こちらはかなり詳細な情報を提供して、直接的にアクションの誘発を狙うものだった。それが効かなくなってきて、中吊りや額面は今ではローンや英会話など、刈り取り型のものばかりが多い。

一方でようやく、趣向を凝らした大型のOOHが出現し始めている。

これも、テレビ一辺倒の広告が聞かなくなってきた反動だろう。もともとヨーロッパでもアメリカでも、TVではブランディングはできなかった事情からOOHが力を持っていたわけだ。

マーケティングの停滞は、進化のための雌伏の時?

マーケティングが、プロモーションが、特に、マーケティング・コミュニケーションが停滞しているのを肌で感じる。

創意と工夫で新しい商品価値を生み出し、それを問う試みがすっかり影を潜めて、その場凌ぎか破れかぶれの安売りばかりがあふれている。

テレビが惨憺たる状態だ。流れてくるのはパチンコ屋のCMと番宣ばかり。番組のコンテンツもひどい。制作費縮小の嵐だと聞くが、どの局もどの局も、安物のお笑いタレントを集めたクイズバラエティーのようなものばかりで・・・これではいくらなんでも視聴者が離れて行くのではなかろうか。

致し方ない時期だろう。そしてこの”時期”は、やがて過ぎても、きっと”元通り”には戻らないはずだ。

いつまでも死んだ振りとは行くまいが、新たな胎動が持ち上がって、次のステージが始まる時(さて、いつになるのか・・・)には、新しい潮流がうねりをなしているだろう。

あらゆるムダや、今までの”当たり前”を捨てた、新しい価値を問う時代が、今もうそこで待っている。

そのときに向かって、今こそ、心あるマーケッターは、本当は何をすべきかを考える時なのだと思う。

本当のマーケティングコミュニケーションが、顧客に問いかけ、訴える核心は何なのかを。

nepia千のトイレプロジェクトに学んだこと。

昨年の7月1日から10月31日までをキャンペーン期間として実施した、僕らの手作りCSRプロジェクト「nepia千のトイレプロジェクト」。スタートまでと、実施期間中は、まさに新しい経験づくめで、ハラハラしたり、バタバタしたりと大変を絵に描いたような騒ぎだったが、無事に、と言うか、期待以上の大成功で終わらせていただくことができた。

いや、終わらせていただくという言い方はなじまない。

これは、やってみて初めて実感できたことなのだけれど、このプロジェクトに終わりはない。いや、むしろ、今ようやく本格的に始まったと言うのが正しい。

人の善意に語りかける社会貢献型、取分け、購入と結びつくコーズリレイテッド型のキャンペーンは、それを発信する側の姿勢と自覚には、相当なものが必要だと、頭ではわかっていたのだが、ここまでのものとかと、やってみて初めて気づくことがたくさんある。

アンケート.jpgキャンペーンの後半で、Web上での簡単なアンケートを実施させていただいた。趣旨に照らしても、余り大げさな謝礼やプレ

 
ゼントはおかしかろうと、ネピア製品詰め合わせを毎週10名さまにとさせていただいたら、驚いたことに、7週の実施(HP上のみ)で、なんと10000人を越える方々からアンケートが寄せられた。

どこでお知りになられたか?とか、このようなキャンペーンは好感が持てるかどうか?とか、簡単なマーク式回答4問に、中には書いてくれる方もあるかと、任意のOPENアンサーを加えておいた。

なんと、なんと!なんと!!

回答者の70%以上の方が、びっしりとOPENアンサーに書き込んでくれていたのだ。

 

次の100年への鍵は「環境」と「姿勢」。

 世紀に一度の大恐慌! 金融市場の底が抜け世界は同時不況の底なし沼に・・・と言う悲観報道が一巡したら、今度はこぞって「ピンチをチャンスに!」 のエールが巻き起こりつつある。

マスコミの付和雷同振りには今さらながら辟易だが、「ピンチをチャンスに!」には頷ける。

日本の実態は、実は(世界に比して)チャンスに溢れている。「技術」と「人」と「資金」の蓄積で。

足りないのは「思想」と「意志」だ。「無」から「有」を生む最初の着想だ。方程式ではなくて、理論だ。

どんな風に?のHow toではなくて、今こそ何を?のWhat forに答えを見つけるときだ。

本当は、世界のピンチを日本のチャンスにと言うような、利己的なことではなく、世界の試練を次の飛躍にという共通課題だし、今こそ(=17世紀の鎖国以来、400年間殻に閉じこもっていた)日本のリーダーシップで、次を切り開く責任の時だ。

地球の資源と、人の心を食い尽くしたのが20世紀の事業(エンタープライズ)とマーケティングだとしたら、21世紀は地球(社会)や人と「共生」、或いは「共鳴」「共振」する事業やマーケティングの時代になる(べきだ)・・・そうでないと、人類は自壊してしまうから・・・と、ここ数年、何となく感じ取られ続けてきた。

まさにそのときが来たのだと思う。・・・・僕らが、余りに傲慢で、かつ鈍感だから、こんなショック療法の形で・・・・。

次の事業Hintは「環境」だと言う。 

おそらく正しい。 =地球と共生できる幸せの価値化だ。

では、僕らの本業=マーケティングやコミュニケーション、プロモーションの

Nextは何だ?!

シャープの意志。

正月、久々のTV三昧で、箱根駅伝から、女太閤記、お笑いの特番まで数々の番組を観た。

せっかく興が乗ってきたところに、いやおう無く割り込んでくる数々のCM。脈絡無く、騒がしく、手前勝手なCMのノイズには、改めてうんざりさせられたが、そんな中、記憶に残ったのはシャープの「ソーラーカンパニー宣言CM」だった。

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~いよいよ世界は、油田の時代から太陽光の時代へ~シャープは世界が求めるエネルギーメーカーになって行く~

オー・ソレ・ミオの曲を背景に、吉永小百合が宣言メッセージを読み上げるように語るこのCMには、いくつかのことを感じさせられた。

一つ:~救うのは太陽だと思う~ メッセージが問いかけている問題は・・・その通りだ。

二つ:~シャープはエネルギーメーカーへ~ シャープよ、そこまで言い切っていいのか? そこまでの、大きな意志と決断に基づいての発言か?(それとも、クリエイティヴの先走りか??)

三つ:言動は一致するのか? 現在既存の構造の中には、社会に仇する部分を、まだ残しているのではないのか?

ただ、それにしても何にしても・・・マリンちゃんに会えますようにとか、初売り半額とかの、刹那的なCM郡に比べれば、群を抜いて輝きに満ちていたように感じる。

新しい価値を認識して、そこへ向けて舵を切るとき、既存の体制矛盾はいくつか残るのは致し方ないだろう。シャープが喧伝するクリーンエネルギーの亀山工場に関しても、きれいごとの裏をあげつらう話には事欠かない。

しかし、重要なのは「意思」だ。新しい価値に向かって、走り始めるぞと言う意思が貴重だ。そして、それを勇気を持って宣言することは、さらに意義深い。

このCMからは、混沌を抜け出し、次を創りあげようと言う意思を感じた。一皮向けた、日本の企業の”これから”を示す一つの姿を感じた。

今年のシャープを見つめて行きたいと思った。

 

プロフィール

VM Lab 辻井 良一

1983年セールスプロモーションの企画制作会社「株式会社アイベックス」を設立。プロモーション・プランナーとして、「売れる仕組みづくり」をキーワードに、さ まざまな企業の販促キャンペーン、市場導入プラン等に携わる。日本初のネットキャンペーン、キリンビバレッジ社「ネットでFIREキャンペーン」などを手がける。
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25年間プロモーションの最前線で、「売れる仕組みづくり」に携ってきた私、辻井良一(DG&Ibex創業者)が主宰する、「これからのマーケティング」を考えるラボです。
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