マーケティングの話: 2008年8月アーカイブ
広告は何処へ行く?
先日、ある大手新聞社系の方とお話しさせてもらう機会があった。ここへ来て、広告の出稿がさらに一段と落ち込んで慌てていると。前代未聞の落ち込みようだと。
さらにまた大手広告代理店の方と、代理店の売上と利益の見込み数字に付いて話す機会もあった。大手でも売上が前年90%台。と言うことは、利益ベースで見ると落ち込みはさらに激しく、実情は80%台ではないかと。
理由は簡単だ。広告を出したからといって売れる気がしないから出さないのだ。
競合のA社が広告を減らしてくれれば、B社、C社は喜んで一緒に減らす。それでも市場のシェアは変わらないからだ。
赤信号もみんなで渡れば怖くない。広告なんぞ出しても出さなくても、大勢に影響はないのだ。
では、広告は何処へ行く?
広告は・・・マーケティングに向かう。
正しいブランドのサスティナビリティー競争に向かう。
目先の刺激ではなく、将来を見据えた事業の在り方の洗い直し競争が始まっている。
そして、本当にメッセージしたいことが出来た時、その広告は届くと思う。
一方で、広告代理店は6兆円の広告費の枠を超えて、総額13兆円と言われるマーケティング費(流通対策費7兆円を含む)全体の領域での対応に舵を切る。
華麗なフィギャースケートのような、広告の孤高の時代は終わろうとしている。
真に価値あるものを、真にそれを欲する人の元へ届ける。それがマーケティングだ。
AGCYはそれをサポートしなくてはいけない。
できるかな???
CSRとサスティナビリティーは紙の表裏の関係。
バリューマーケティング研究所を立ち上げて以来、CSR系の仕事に注力して来てさまざま学ばせていただいた。
企業のCSRは、初期の名目的な段階を経て、今、第二段階に入ろうとしているとひしひしと感じる。
この仕事をしていると、さまざまな企業の方々とお会いして課題を共有させていただくのだが、昨今は・・・と言うか、今年に入ってかな~、企業側のCSRの意識が、明らかに自社のドメイン上での実現と言う方向にシフトしてきているのを感じる。
それが正しい。それこそが正解だ。
つまり自社の事業そのものが、社会的な責任の上に成り立つ構造こそCSRであり、それは取りも直さず、自社事業のサスティナビリティー(継続性=存在すべき理由)の証だ。ダノン社の例が分かりやすいが、それに勝るとも劣らない考え方の日本企業が続々と生まれつつあるように感じる。企業は成長する。成長しないと生き残れないからだ。いい流れだと思う。
時に、つい数分前に僕は58歳になったようだ。
馬齢を重ねてついに58年か~。
僕のサスティナビリティーは何だろう。僕のCSRは何だろう。
一番小さな社会である家族に対して、僕個人は社会的な責任を果たせているのかな?
バリューマーケティング研究所は、正しいサスティナビリティーモデルを構築できているのかな?
残してきた会社、DG&Ibexはサスティナブルかな?
ちと、感傷的になってしまった。
「マーケティング」のカテゴリーで書こうと思ってPCに向かったのに、これではほぼ「無益な話題」だ。
パラダイムのシフト。
実は今、せっせと原稿を書きためている。この冬に向けて、僕らが今取り組んでいるテーマ「CSRやソサイアタル」に関しての出版が出来ればいいなと考えているからだ。(僕のパートだけが遅々として進まない。僕は長文を構成する能力に欠けているようだ。勝手な思いつきで短文を書くのは嫌いではないが、文脈を整えた長文はよほど苦手のようだ・・・無能を恥じる)
それにつけても、世の中の潮流の変化は早い。僕の目線がそちらを向いているからなおさらかもしれないが、世の中の様子を書いている矢先から世の中の方が追いついてくる。しかも、その加速度がここ数ヶ月で驚くほどに増しているように感じる。
市場のパラダイムは完全にシフトし始めた。社会の価値基準は明らかに変わり始めた。
テレビのチャンネルをひねると、二つの相反する潮流が不思議な共存状態にいる。
片や相変わらずのバラエティー、芸能人の内輪ネタとマンネリのクイズや大食いの競争。せいぜい良くて視聴者参加の盛り上げ努力型の番組と、手を替え品を替えのBuyMe広告のラッシュだ。
もうひとつの流れが確実に押し寄せている。
社会的な問題や、地球の資源問題に迫るまじめなテーマの番組や、商品の健康性、安全性、ひいては企業のCSR的努力をアピールしようとするCMの増加だ。
アマゾンを訪ねた時を思い出した。2つの源流から流れ込む二色の河が、溶けいらずにそのまま二色で流れ続けているところがある。水の比重が違って溶け合わないのだと聞いた。しかしはるかな下流では、やはりアマゾンはひとつの色になっているのはずなのだが・・・ここでは延々と交わりそうになく流れていた。
おおっと、今日は旅行の話じゃなかった。マーケティングの話だ。
当VMLabの顧問でもある井上教授は、オーガニック・コミュニケーション・ミックス論の考え方でで、よく次のように言っている。
今までは、全てリーチで考えてきたから、番組の内容はどうであれ視聴率20%のバラエティーの方がよかった。でもこれからは、知識構造の構築(=理解)が問われるのだから、視聴率よりもむしろメディア(番組)の内容が重要だ。ソサイアタル性の高いメディアでソサイアタルなコミュニケーションをしたいと考える時、例え視聴率は低くても、それを見ていてくれる人にその流れの中でメッセージすることは有効なのだ。(メディアのソサイアタル性とテーマのソサイアタル性論)
蓋し正論。テレビの視聴率依存価格体系は早晩崩れることだろう。そもそも、その視聴率すら疑わしいといわれて久しい。
リーチは目的ではなく、手段の一つでしかない。
CSRとコーズリレイテッドの「潮流」の本質。
2000年を堺とした、マーケティングのパラダイムシフトは僕らの自論だ。
パワーマーケティングの崩壊は、今や自明の理だ。
マテリアリズムから→ポストマテリアリズムへ。
人の心と地球の資源を食い尽くしてきたマーケティングから→人と社会を育むマーケティングへ。
CSRとコーズリレイテッドの潮流は、その兆しにしか過ぎない。やがて、マーケティング自体がソサイアタルに向かう。
ここで不思議に感じることがある。いや、極めて”ことの本質”を示している事実かもしれない。
このシフトの先頭を走っているのは誰か?一番遅れているのは誰か?と言うことだ。
一番先に意識と行動を変えたのは=消費者(生活者)だ。
二番目に気づいたのは=メーカーだ。
三番目と言うか、まだ気づいていないかもしれないのが=広告会社や販促会社だ。
もっとひどいのは・・・価格志向・売れ筋志向のままの「組織流通」(の一部?)かも知れない。
今も、次々に新しい気づきを生み出して、既存構造をこわし続けているリーダーは、紛れもなく、従来マーケティングの受け手だった消費者(生活者)の側だ。
心あるメーカーは、既に気づいた。(消費者志向だから)
広告界も、遠からず気づくと思う。(クライアント志向だから)
流通は・・・まだ気づいていないところが多いように思う。(効率&利益志向だから)
もっとひどい、社会悪がある。
”マネー”だ。
資本主義の恐竜は、どこを目指しているのか。
資本主義(自由主義)の限界が、言われ始めている。蓋し同感だ。


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