人生に思うこと: 2008年3月アーカイブ
桜の季節、少し感傷的になって。
18歳の時に見た、桜のトンネルの記憶をたどっていたら、司馬遼太郎のいう「原風景」と言う言葉に思いが及んだ。
僕の原風景は何だろう・・・札幌市北三条西十一丁目。開拓時代の様子をそのままに残したという「植物園」の裏手で僕は育った。立ち並ぶ民家には塀がない(札幌の家に塀ができるようになったのは最近のことだ)。屋根はトタン葺きだ。
家々の間に”ハラッパ”がある。電信柱の向こうに夕焼けがある。カラスが飛んでいる。夏の間は何をして遊んでいたのだろうか?植物園の塀を乗り越えて、沼のおたまじゃくしを取りに行った。竹とんぼでも遊んだが、2B弾をアリの巣に突っ込んだりもした。
11月になると雪虫が飛んで季節の代わり目を告げる。札幌の冬は3時を過ぎると暗くなる。やがて一面の雪になる。ラッセル車が掻き分けた道脇の固い雪の山を掘り抜いて、かまくらと言うよりは大城塞を築く。雪の弾を備蓄し、近所の別グループと毎日戦争に明け暮れた。捕虜になっていじめられるのが無償に怖かった覚えがある。
夕方になると帰って、丸いテーブルに座って開きホッケか秋刀魚の夕餉を囲んだ。凍ったニシン漬けはおいしかった。塩辛は嫌いを通り越して怖い食べ物だった。納豆も苦手の一つだった。カレーライスの日は嬉しかった。
その後、日本の高度成長期の真っただ中に思春期を迎え、高校時代までと、大学卒業後の約十年を札幌で過ごす。子供達には”ナゼ?”と、不思議がられるし、僕にも確かな理由は思い当たらないのだが、僕はまだ本籍地を札幌に残したままでいる。父の墓を札幌に置いてあるからだろうか?
桜の季節に思うこと。
今年もまた見事に桜が咲いた。
この花は本当にすごいと思う。普段はあまり目立たない存在でじっとして居ながら、この季節、一気に咲き誇って、「おれは桜だ~!ここに居るぞ!!」とばかりに、狂ったように自己主張する。いやはやお見事、確かにあなた様は桜でいらっしゃられましたねと、思わず頭を下げたくなる。惜しまれる内にサッと散る。そしてまたその存在すら忘れるのだが、やがて春は巡って来る。一気に咲く。
僕が桜の美しさに動転するような驚きを覚えたのは遅く、18歳の時だ。高校時代までを札幌で過ごしてきた僕は、親に連れられて花見にも出かけたし、さまざまな文学などの中でも、桜を愛でるシーンには出食わしていたが、正直あまりピンと来ていなかった。
それには訳がある。札幌の桜はGWのころに咲くのだが、ソメイヨシノのような八重の種ではなく花も小ぶりだ。さらに決定的に違うのは、若葉と同時に花をつけることだ。だから確かに花は奇麗だが、若葉の緑と重なって東京の桜ほどの鮮やかさに欠ける。
そんな僕が学生になって東京住まいの初めての春、何かの用で中野界隈辺り?の桜並木に迷い込んだ。
春の日差しを浴びて咲き狂うさまにまさに圧倒された。・・・・・これだったのか!これが桜だったのかと!!


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