CSRの階段。
昨年の7月にスタートさせたネピア千のトイレプロジェクトが2年目を迎える。
今年は9月~12月の4ヶ月間のキャンペーン期間を設定して、東ティモールの支援を続ける。
8月初めのプレスリリースと、Webサイトのリニューアルに向けて今はちょっと大忙し・・・いや、忙しいのは僕よりも五十嵐くんや並河さんなのだけれど・・・僕もやっぱりちょびっと忙しい。
プロジェクトサイトでの、説明の組み立て方や内容、範囲などを考えながら、自ずと、昨年来の僕らj自身の、CSRに関する理解の変化を振り返ってしまった。
CSR:企業の社会的責任と言う言葉が独り歩きを始めてまだ間もないが、この言葉はこの言葉で、やはり相当に奥が深い。
ただ、実際にその前線に踏み込んで動いてみてつくづく思うのは、CSRには”企業の志のレベル”によって、明らかに段階があるな~と言うことだ。
まず、お付き合いの奉加帳型と言う段階がある。お祭りの寄付のような感覚だ。さまざまなNPOなどの活動の趣旨に賛同して、協賛や寄付をする。実施には踏み込まないが、それでも寄付は活動に生かされるので、しないよりははるかにいい。
もう一歩踏み込むと、自社の事業ドメインに照らして、社会貢献の出口を探る段階に至る。医療関係だから赤十字に、食品関係だから世界食料機構に寄付をして、その活動に役立ててもらうと言うスタイルだ。団体だけを選ぶ寄付と、活動の内容を指定して寄付をする方式に分かれる。当然後者の方が関与度が高いことになる。
寄付の受けて側は、寄付をする企業をドナーと呼ぶ。この言葉を聞いてはっとした(英語は時に理解を促進する)。そう、あの臓器提供者と同じ”ドナー”なのだ。と言うことは、寄付の提供者側には、役に立ちたいという志は求められるが、それをどのようにと言う具体的な推進に関しては、さほどの関与は求められない。むしろそこは、専門家に任せろと言うことだ。臓器移植の手術を考えれば実によく分かる。そして、団体の活動がしっかりしていればドナーの意思はきちんと生かされ、成果はもたらされる。支援の対象選びが肝要だ。
さらにもう一歩踏み込むと、支援や開発の事業の有りかたに気持ちが入って行く。自分たちの志を、最も確実に、最も効果的に実現するにはどうすればいいのかと・・・。しっかりした団体を選び、活動の内容を詳細に詰めると言う方法がある。あるいは、自力で支援活動を推進すると言う選択がある。目的の為に、NPOを新たに起こしたりもする。
自力での推進が確実になされれば、それが最高だろう。しかし実際には、途上国での開発や支援に際しては、充分な経験やネットワーク、人的能力や組織力などが必要で、自力での活動が空回りするケースも多発する。思いつきで現地に乗り込んだくらいでは、ほとんどのケースが成果に結びつかないことが多い。
「僕は本当のユニセフを知らなかった」と書いたのは一年前。初めてその問題に気づいたときだ。人びとの善意を「集める役」の側はできても、それを生かして「実施する側の役」は容易には組み立てられないのが普通だ。
我々はnepia千のトイレプロジェクトで、当初、今思えば実に漠然とした安心感や、期待感で、ユニセフを支援の対象に選ばせてもらった。そして足かけ三年、数度にわたって現地を訪問し、途上国の支援と開発の事業の何たるかを、少しずつ少しずつ理解してくることが出来た。
ユニセフを選ばせてもらってよかった。わずか(といっては誤解を招くが)2000万円/年の寄付が、あの、道路も不備で、水も電気も不自由な国で、確実に1000のトイレや給水設備に変わって行くのは、40年の活動に支えられたユニセフの組織力、実行力との結晶に他ならない。彼らは世界中の途上国で、政府の厚生省に成り代わったような体制で事業を推進しているから、その確かな受け皿に盛られた寄付は、実に効率よく生かされるのだ。
これは考えてみれば分かる。2000万円でトイレを作ろうと、東ティモールに乗り込んでさてどうする?事務所がいる、人がいる、クルマがいる、連絡がいる、出張がいる、ご飯も食べなくてはいけない、通訳もいる、技術もいる・・・そう、現実には不可能に近いのだ。
今回6月の訪問で、ユニセフ久木田代表から実に嬉しい言葉をいただいた。千のトイレプロジェクトのネピアさんはもう、ドナーじゃなくて、パートナーですと。
パートナー。僕たちは今その使命に目覚めることが出来た。現地での事業はユニセフが確実に進める。そして僕らはそのパートナーとして、一人でも多くの日本の人びとに、途上国の水と衛生の問題や、ユニセフの活動の真実を知らせる広報の役割を分担すればいいのだ。これは、僕らにしか出来ない立派な役割の分担だ。
今回の、千のトイレのWebサイトリニューアルに、僕はこの意識を強くして臨んだ。一年目の去年よりも、もう一歩踏み込んで事実の説明、理解の促進に努めようと。
CSRの階段を、また一歩だけ登れたような気がした。
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