世の中に、金と女は仇なり。
男性なら何とな~~~く、腑に落ちるこの言葉。
実は、温厚で実直で僕とは似ても似つかない、僕の親父の”遺言”だ。
その言葉を聞いたたのは僕が17歳の時。
当時オヤジと二人暮らしだった僕が、学業をおろそかにするほどの”初恋”にのめり込んでいた時に・・・ポロリと聞いた。きっとさぞかし、オヤジの目に余ったのだろう。
「えええ? 仇って?」と聞き返した僕に、「仇って言うのは、憎らしいだろう。 憎らしいから追いかけてしまうものなんだよな・・・金と女とは」と。
ががが~んと来た。
さらに続いた。「自分からそんなに追いかけなくても、自分が素敵になれば、向こうからやってくるのも金と女なんだそうだよ」と。 それ以上は何も言わなかった。
無口で優しく謹厳で勤勉で実直で努力屋の・・・仙人のようなオヤジだったが・・・早くに妻(僕の実母)を失い、後添えともあまり幸せではなく、金と女には生涯恵まれない男だった父親の、この言葉だけは40年忘れられない。
忠告に従って、全うに生きられたかどうかは???だが、心には刻まれている。
女が男の”仇”と言うのは17歳の時に、実によくわかった。”金も仇”だと知ったのは、もう少し後のことだ。
結局・・・オヤジは、”仇”に恵まれずに78年の生涯を送った。
「あんなにいい人なのに・・・きっと前世で、ソートー悪いことをしてきてたのかもね!」と、 葬式の時に仲良しのみんなでそんな話で盛り上がった。
にっこりと笑っているオヤジの写真を見ていたら、急に思い出してしまった。
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