「広告」よりも<「コンテンツ」。

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「広告」と「コンテンツ」の垣根が崩れ始めている。

理由はいくつもあるが、最たるものは、ユーザーイニシアティブによる情報摂取(能動情報)の増加だ。

メーカー側は・・・とにかく売りたい。→買ってもらうためには自社製品の価値を分かってもらわなければいけない。→本当に分かってもらうには大量の情報を伝える必要がある。→大量の情報を摂取してもらうには、ユーザー側から見て摂取する価値のある文脈を伴っっていなければいけない。→クロスメディアコミュニケーションが不可欠となる。

TVに代表される「リーチ系メディア」で、大量の広告をノイジーに投下しても殆ど何も「伝わらない」。商品の価値提案が高度化し、メディアと情報が増えすぎた結果だ。

TVCMを初めさまざまな広告に、ネットでの「検索ワード」を表示するのは、今やもう当たり前の手法になっている。が・・・実はそれだけでは、「マルチメディア手法」ではあっても、本当の「クロスメディア手法」には至っていない。結局のところ、売り手都合の流れでしかないからだ。

「クロスメディア」と言うからには、ユーザー側の目線から考えて、どのタイミングにどんな角度から、どんな情報に接触すれば自社商品の本当の魅力に気付いてもらえるかを考えなければいけない。

”PR First,Advatising Second.”は、30年前ほどに”Positioning”と言う概念を提唱した、アルライズ(Al Ries)の言葉だが、今は将にその時代だと誰もが実感できると思う。

ひねりまくったクリエイティブで、競合との差別化を印象付けたい「広告」に巨費を投入するよりも、開発のテーマと据えた課題の重要さや、その成果などの話が、文脈を伴った「PR」として伝わる方がはるかに効果的だ。PRは生活者側のリズムで摂取される情報だし、何より信頼度が違うからだ。

PRとして伝播する為には、それに値する事実が必要なのは当然だ。・・・所詮、PRネタにもならないような、価値のないものは広告をしても売れなくて当然だろう。マーケティングコミュニケーションとは、錯覚させて売りつける工夫のことではない。固有の価値の情報を、それを必要とするはずの人に届ける工夫だ。

「広告」よりも「コンテンツ」とはつまり、広告表現よりも、真に知ってもらう価値のある内容の提示=コンテンツ=ファクト(事実)と言うことに繋がる。

だから、「広告」よりも<「PR」であり<共感できる「事実」の力なのだ。

そしてこの「PR」の世界がさらに進化していることは皆さん既にご存知だろう。Web2.0。全ての個人がPRの発信者である時代なのだから。

アルライズはさらに過激だ。買ってもらうための手法としては既に役割を終えた(=効かなくなった)「広告」は、これからはステキな「アート」に昇華すればよいと。それならば意味があると・・・。

そう言われて考えてみると、腑に落ちる例も既にいくつも散見される。例えば高級ファッションブランドの広告は、勝って欲しそうな素振りすら見せていない。だが売れる。PRの工夫すらしていないようにも見える。だが、ファンが勝手にPRしてくれている。それはNet時代以前からのことだ。

やっぱり、ここ数十年の日本の広告界では「ブランド論」と「広告表現競争」が、誰かの都合で捻じ曲げられてきていたんだな~と、そのお先棒を担いだこともある僕は、いよいよ確信し、反省を新たにする。

プロフィール

VM Lab 辻井 良一

1983年セールスプロモーションの企画制作会社「株式会社アイベックス」を設立。プロモーション・プランナーとして、「売れる仕組みづくり」をキーワードに、さ まざまな企業の販促キャンペーン、市場導入プラン等に携わる。日本初のネットキャンペーン、キリンビバレッジ社「ネットでFIREキャンペーン」などを手がける。
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25年間プロモーションの最前線で、「売れる仕組みづくり」に携ってきた私、辻井良一(DG&Ibex創業者)が主宰する、「これからのマーケティング」を考えるラボです。
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