仏ソシエテ、8兆円の損失確定売り。
49億ユーロの損失を出した31歳の悪役、ジェロームくんの不正取引が発覚したのが18日。中央銀行に報告されたのが19日。ソシエテはその翌週21日から、手持ちポジションの一斉売却に入って自ら増大させた「損失額」を固めて発表に至ったと言う。清算された不正取引の扱い総額は500億ユーロ規模と推定されると言うから、8兆円近いポジションが一斉に投げ売られた訳だ。欧州・アジア株の急落の一因となったかもと言う推測はおそらく正しいだろう。結果ソシエテは損を膨らまし、FRBは22日、0.75%の緊急利下げを決定する。先物の損だから、あいたいの利益は誰かの懐に収まったことになる。ジェロームくんのオイタ、世界金融を揺るがすの巻きだ。何だか少し笑えた。
彼にインタビューしてみたい。「あんなに慌てて売るから損が膨らんだ」「僕ならもっと上手に裁いたのに」「だって僕は、行内ルールを破って大きくやっちゃったけど、そもそも僕のセクション自体が先物の博打のセクションなんだよ」・・・な~んて言わないかな。
この記事を今日の日経に見つけて、僕は違うことを考えていた。
企業のコンプライアンス、ガバナンスを厳しくと言う動きが世界の随所に激しい。日本で言えば、LD事件以来の監査基準の厳格化は相当なものだ。まあ、不徳の輩が多すぎたのだから仕方が無いけれど、監査法人は、灰色を白と言ってしまえばお仕舞いだから、本当に神経質。むしろ全てを黒と言えば安全と言う流れが出来上がっている。(今や日本中で、一番物分りが悪いやつは監査法人だ/笑)。そんな中困るのは、白を白と言わせる為の手続き作業の膨大化だ。結果、管理コストの増大につながり、上場を視野に入れる新興企業などにとっては利益圧迫の最大要因だ。
アネハ耐震偽装問題後の建築申請手続きが複雑化し、認可遅れによる着工遅れ、完成遅れが続出して建設不況。と言う記事は目にした方も多いだろう。同じ流れだ。
「清濁併せ呑む大器」とか、「水清ければ魚棲まず」とか、今時そんなことを言おうものなら、政界でも財界でも即刻退場だ。全てが透明に、全てが善に・・・でなければいけない。ルールを破れば退場(=死刑判決)だ。今や経営者は社会からNOを突きつけられないように汲々としてしている。何だか、文化大革命のときの中国のようだとふと感じる。
昔々を遡れば、「商人」と言う言葉は「盗人」とほぼ同義語だったと聞いて、それなりに納得した覚えがあるから、ずいぶんと変わったものだ。これで、世界は全て良くなる・・・・・のだろうか?そこが問題だ。小さな不正や、世を欺く僅かな姿勢が徹底糾弾される世界で、では本当に「善の意思」が、世界をリードしているのだろうか?僕にはそうは思えない。
世界の経済と政治を、理屈とルール(と軍事力)で固めた上で、それでも世界の富を根こそぎ持って行ってしまうような、巨悪の資本が笑っている。これこそ「盗人」の「商人」だ。
石油メジャー、軍事産業、特許に守られた医薬メジャー・・・・。ルールはきっちりと守っている。不正は働いていないかもしれない。だが、不善は堂々となされている。
ブッシュを大統領にしてしまうアメリカの庶民も庶民だが、そうさせる巨悪が背景にいるからだ。プーチンの冷徹な目も、胡錦濤の含み笑いも同列に並んでみえる。
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