ロイターの伝書鳩。
伝書鳩を使って通信した歴史はBC5000年のシュメールに見られ、BC3000年のエジプトの漁師には漁況を伝える手段として定着していたらしい。それなら、BC450年マラトンの丘でアテネがペルシャ軍に勝った知らせを42.195キロも走って死ぬことも無かったろうにと思うが・・・そうも行かないのが人間の知恵と行動の限界だ。
伝書鳩と言えば、ワーテルローの戦いの結果(英国の勝利)を伝書鳩でいち早く知ったロスチャイルドが、一世一代の大芝居で、英国の公債を売りから入り、周囲が狼狽して一気に下がったところを買い集めて、一夜にして巨万の財を成したという話が有名だ。ナポレオンのフランス帝国軍がワーテルローでイギリスプロシアの連合軍と戦った、ワーテルローの戦いは1815年(≒200年前)のことだ。
ドイツ人のポール・ジュリアス・ロイターが1850年に設立したロイター通信社の主要通信手段は伝書鳩。51年には英仏海峡に海底ケーブルを施設してロンドン・パリの相場情報を配信を始めたが、世界中から情報を集め配信する機動力の主体は長く伝書鳩だった。
第二次世界大戦に臨んだイギリス軍は、50万羽の軍用伝書鳩を持っていたという。それを妨害する為に、ドイツ軍は鷹を使ってはとを襲わせた。1940年代(わずか半世紀前)の本当の話である。
僕は、広告コミュニケーションの話しをする時に、よくこの話を例えに出す。
テレビに代表されるマスメディアで、如何に情報を伝えるかと言う、コミュニケーションの技術(広告代理店の技)が、市場での勝敗を左右した時代(=僕らが広告の世界の常識を学んだ時代=20世紀後半の50年間)は、伝書鳩と鷹で情報戦を戦っていた時代のほんの直後のことだったことを先ず知ろう。
そうすれば・・・つまり、電話と無線が出来、7000年続いた情報流通手段の「はと」があっと言う間にいなくなった変化のスピードを考えれば、通信と放送が情報世界を牛耳った時代が、Netの台頭であっと言う間に崩壊して、次の時代が来ることは不思議に思えなくなるに違いない。
人は、自分の育った時代の常識を覆すのが下手だ。過去の成功体験に縛られる生き物だ。その膠着に対処する最善の方法は、新しい便利を、自分の肌感覚で使いこなしてみるしかないだろう。マーケティングの発想は、生活者としての実感の上にしか成り立たないからだ。
最後に、笑えるエピソードを一つ。
1929年、昭和天皇の八丈島行幸に随行した日本電報通信社(現在の電通)の藤原氏は、記事を書いて東京本社に飛ばした後、おもむろに電報を打った「ハトハマツノウエニアリ」。
メールを入れておきましたよと、ファックスを送る行為に似ていて笑える。
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