年金問題の報道に思うこと。

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消えた年金の行方の追求。マスコミの論調は鬼の首を取ったように激しい。

確かに、行政の怠慢は許しがたいし、世直しを唱える野党が、この問題を重大視するのも分かる。ただ、今の日本、これからの日本の「政治」を考える上で、「年金問題」の論点は、これだけでいいのだろうか。

けして多くはない給料の中から、一生懸命払った自分の掛け金がどこかへ行って分からなくなってしまっていたら、それは腹が立つこと夥しい。どう考えても行政の怠慢なのは誰にも分かる。でも、今の?今までの?これからの? 日本の政治を本当に考えると言う視点に立てば、その他にもさらに深刻な問題が「年金」の周辺に潜んでいるのではないだろうか。

つまり、その「年金」自体を全く~殆どもらえない、膨大な数の人々とその子供達の今後の問題だ。

今もなお、将来、年金をもらえなくなる人たちは増え続けている(=国民年金不払い率の上昇、ニートの増大)。これは、年金の着服や企業の不正とは全く別の、社会構造的問題だ。

平和の中で、少子高齢化が進む日本では「シックスポケットの孫」(=両親+それぞれの親/都合6人の愛を一身に集める)が、ゴージャスなベビーカーに乗せられて、王様扱いされている一方で、今はまだ何とか働いて自立しているが、高齢化に伴い収入が閉ざされる恐れに直面しつつ、年金の保証から見放されている大勢の高齢者がいる。この現実に、マスコミは触れもしない

その人たちの多くは、自営業者であったり、中小零細の企業を営んだり、勤めたり、辞めたりしながら、昭和を生き抜き、日本の成長に寄与してきた人々だ。

たまたま、大企業の組織に身を置いた人たちは、否が応でも年金を徴収されたのが幸せだったけれど、在野の人々には「年金」の意識は薄かったのではないだろうか。激しいインフレを経験し制度自体を信用しなかった人たちも多くいるだろうし、払う余裕も無く仕事に明け暮れた人はもっと多かっただろう。政治や行政の側もここまでは、払わない人々を非難はしたが、国の将来の問題として捉える視点は薄かった。

今はまた新たに、ニートに代表される「年金不払い層」が急上昇中。これは将来の年金難民予備軍だ。

確かに、払わなかったのは自己責任。払い続けた人との差は有って当然。そのことを議論しようと言うのではない。

今、僕が情けなく思うのは「マスコミの論点」だ。社会保険庁の怠慢と政府の監督不足の追及だけで、ニュースやワイドショーを盛り上げて、それでどうするの?格差社会が訪れると、したり顔に解説して見せてどうするの?

みなさん、これでいいのでしょうか?」と、決まり文句のように終わるキャスターが腹立たしい。過去の行政や時の政府を非難するだけなら誰にも出来る。マスコミの良心・良識はどこへ行ったの?みんなが飽きてしまうまで、その部分だけを追い続けて、またやがて新しい話題に飛ぶの?

少なくとも、日本の「年金」問題の核心は、今騒がれていることとは別の部分の方が深刻のように思われる。国の制度が崩壊しつつある時に、マスコミは、あげ足取りの上手さで視聴率を競っていていいのだろうか?

マスメディア、特にお茶の間の視聴を集めるテレビには、もう少しだけでもいいから、本質の論点から問いかけて欲しい。

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VM Lab 辻井 良一

1983年セールスプロモーションの企画制作会社「株式会社アイベックス」を設立。プロモーション・プランナーとして、「売れる仕組みづくり」をキーワードに、さ まざまな企業の販促キャンペーン、市場導入プラン等に携わる。日本初のネットキャンペーン、キリンビバレッジ社「ネットでFIREキャンペーン」などを手がける。
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25年間プロモーションの最前線で、「売れる仕組みづくり」に携ってきた私、辻井良一(DG&Ibex創業者)が主宰する、「これからのマーケティング」を考えるラボです。
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